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鍼灸で免疫力アップ? -身体の中から感染予防-

鍼灸で免疫力アップ? -身体の中から感染予防-

連日のウイルス報道や生活の変化でストレスが溜まったり、外出自粛に気持ちが沈んでしまったりしていないでしょうか。健康であることが1番と改めて感じられている方は多いのではないかと思います。
新型コロナウイルスが流行してから、「免疫力を上げたい」と鍼灸を受けられる方が増えました。鍼灸というと、ぎっくり腰や肩こりの治療、美容鍼などのイメージが強いかと思いますが、免疫に対しての効果もあることが分かっています。
1. 東洋医学の概念「未病治」

東洋医学では、「病気になってしまう前に養生をして、健康状態を維持する」という「未病治」という概念があります。免疫力アップには、この東洋医学の基本的な考え方がとても重要になります。

鍼灸治療を受け始めて、「毎年この時期に風邪を引いていたけど、今年は引いていない」「花粉症の症状が軽くなった」という声を聞くことがあります。風邪は免疫力が低下したときにかかりやすく、花粉症は免疫が過剰に反応している状態です。

 

鍼灸はこのどちらに対してもアプローチしていくことができますが、鍼や灸で「免疫力を上げる」というより、免疫の調整機能が働きやすい身体になるために、「もともと備わっている免疫力が発揮されやすくなる」というイメージが近いと思います。

2. 免疫とは
① 免疫ってなに?

私たちの身体は、新型コロナウイルスだけでなく、常に外敵から攻撃されているといえます。細菌や花粉、環境中の有害物質、ストレスなどもそうです。このような外敵から身を守り、病気になるのを防いだり、かかった病気を治そうとする防御システムのことを「免疫(力)」といいます。

 

免疫には自然免疫と獲得免疫の2つのタイプがあります。

② 自然免疫

生まれつき身体に備わっている仕組みで、病原体が侵入した時に真っ先に対抗します。一次防御壁と二次防御壁があり、一次防御壁では、病原体が皮膚や粘膜を介して体内に入るのを防ぎ、体外に出してしまうことで感染を防ぎます。 粘膜組織には病原体を排除する防御システムが備わっていて、中でも「腸」は、全身の免疫細胞の約7割が集まる、免疫の鍵となる重要な臓器です。免疫には腸が大事とよく言われるのは、このことが関係しています。
二次防御壁では、それでも侵入してくる病原体を排除するよう、免疫細胞がとにかく病原体を捕えてやっつけます。白血球の一種である好中球、マクロファージが病原体を飲みこむ一方、リンパ球の一種NK(ナチュラルキラー)細胞は、外敵が侵入すると即座に攻撃し、病原体に感染した細胞を直接破壊します。

③ 獲得免疫

獲得免疫とは、相手の性質を正確に見極めて攻撃、また侵入した病原体に対する抗体をつくり、次に同じ病原体が侵入してきた時に備える仕組みです。ここで活躍する免疫細胞は、リンパ球の主にT細胞(細胞障害性T細胞、ヘルパーT細胞)やB細胞です。
ヘルパーT細胞は周囲の免疫細胞に対して働きかけ、司令塔のような役割を果たします。指令を受けると、細胞障害性T細胞やNK(ナチュラルキラー)細胞は活性化し、病原体を攻撃、B細胞は病原体を無効化する抗体を産生します。

 

病原体が体内に侵入し、増殖してしまった状態が「感染」です。とにかく病原体を排除する。それでもやっつけられなかったら、病原体を特定してやっつける。そして病原体を記憶し、次に侵入してきた時に備える。私たちの身体にはこのような免疫が備わっているのです。

3. 鍼灸による免疫調節

鍼・灸ともに免疫系の活動を亢進するとの報告があり、鍼灸は免疫に対して効果を発揮することが分かっています。

① 鍼の免疫に対する反応

鍼施術をすることにより、血中のNK細胞やT細胞の数が増加することが報告されています。これは鍼の刺激が自律神経を介して、リンパ系器官に働いていることが理由として考えられています。

 

このような事から、鍼施術をすることによりウイルス等の病原体を排除し、次に同じ病原体が侵入してきた時にも対応が早くなる可能性が考えられます。

② 灸の免疫に対する反応

お灸の適度な熱刺激により、マクロファージという異物を殺菌する細胞が施術後と5日後に活性化する事が認められ、免疫力を高める作用が科学的にも明らかになっています。

 

NHK「東洋医学ホントのチカラ〜科学で迫る鍼灸・漢方薬・ヨガ〜」でも取り上げられていた、moxafrica(モクサアフリカ)というイギリスのチャリティ団体では、アフリカで結核予防、HIV/エイズとの重複感染や薬剤耐性結核といった脅威をお灸の働きにより取り除く取り組みをされています。長年の臨床研究の結果、結核とHIV患者のお灸の効能として免疫力(CD4)の向上を証明することに成功されたとの報告もあります。※CD4とはリンパ球の一つで、HIVはCD4リンパ球に感染して破壊し、その数を徐々に減らしていくため免疫力が低下していきます。

 

このような事から、お灸には免疫力を発揮させて、ウイルスや細菌感染の予防、感染後の進行を抑える可能性が期待されます。

4. 自律神経の乱れと免疫力

免疫力はストレス、栄養不足、睡眠不足といったさまざまな要因に常に影響されています。このような様々なストレスが自律神経のバランスを乱し、免疫力が低下すると考えられています。

① 自律神経のバランスが大事

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、前者は活動するとき、後者は休息するときに働いています。ストレスが強く加わると交感神経が優位になり、顆粒球が増えます。増えすぎた顆粒球は自分の身体を攻撃し、炎症反応を起こします。副交感神経が優位な状態ではリンパ球が増え、免疫力向上につながります。一方、副交感神経が過剰に優位になりリンパ球が増えることで、アレルギー症状が出やすくなる一面もあります。

 

健康的な状態とされているのは、顆粒球54~60%、リンパ球35~41%となっているので、どちらかに偏り過ぎるのも良くありません。望ましいのは、自律神経のバランスのとれた生活を送り、免疫システムを安定した状態で機能させることです。

② 粘膜免疫IgA抗体

IgAとは、簡単にいうと粘膜専用の抗体(免疫グロブリン)で、口腔や鼻、腸などの粘膜のバリア機能を強化しているようなものです。IgAは特定のウイルスや細菌だけに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に幅広く反応することが特徴です。通常、抗体は細菌やウイルス感染してから、免疫機能として働きますが、IgAは機能が少し異なり、外部からの侵入を抑制することに優れています。そのため、粘膜でのIgAの分泌量は、身体を守る免疫の目安とも考えられています。IgAの低下では、上気道感染やアレルギー疾患が増加することも報告されています。

 

IgAは特に腸に多く存在する(身体全体の60%以上)ことや、疲労感やストレスの高い人に分泌量が少ないことが分かっています。副交感神経が優位な状態で粘膜の粘液分泌が増え、IgAの分泌量も増加します。そのため、粘膜免疫IgAの力を発揮させるには、リラックス、そして腸内環境を良くすることが大切といえます。

 

昨今のストレス社会では、どちらかというと交感神経が優位な状態になりやすく、なかなか肩の力が抜けない、リラックスできないという方が多いと思います。鍼灸は自律神経のバランスを整えることが得意のため、免疫力アップが期待できます。特に顔面部や頭皮への刺激は、精神的なストレスと関係している脳の血流を改善するため、リラックス効果の高いことが分かっています。

5. 自宅でできる免疫力UPケア
① 食事や過ごし方

❶笑う
笑うことでNK細胞が活性化され、免疫力が高まるというのは有名な話です。脳から副交感神経を優位にする神経伝達物質が出るため、リラックスして免疫が発揮される状態になります。家族や友人との団欒、テレビ鑑賞などで思い切り笑えると良いですが、なかなか環境的に難しいという方もいると思います。そんな時は「つくり笑い」でも効果的です。口角を上げて、ニッコリと笑顔をつくるだけでも、プラスの感情が湧いてくるのが実感できると思います。

 

❷ビタミンDの摂取
ビタミンDは免疫力を強化し、ウイルスへの抵抗力を高めることが分かってきたようです。コロナ対策として推奨されている摂取量は1日100μgなので、(ちなみに耐用上限量は100μgと設定されているので、摂りすぎには注意が必要です)サプリメントを利用したり、ビタミンDが豊富なきのこ類、魚介類、卵類など、食事から取り入れてみてはいかがでしょうか。ビタミンDは脂溶性なので、脂質を含む動物性食品からの摂取や、炒め物にして油と一緒に摂取することで吸収率を上げることができます。ビタミンDは太陽光を浴びることでも体内で生成されるため、朝や日中の散歩も良いです。

② 免疫力アップに効果的なツボ

深呼吸しながら「痛気持ち良い」と感じる強さで押してみてください。お灸をするのもオススメです。

 

足三里:ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみから、指幅4本そろえて小指があたるところにあるツボ。
体力増強、万病に効くツボとして知られています。胃腸の働きを整えることで、免疫力を高めることが期待できます。

 

大椎:首を前に倒したときに、首と背中の付け根に飛び出る骨(第7頚椎)の下にあるツボ。
風邪から身体を守るツボとして有名です。風邪予防や、寒気のする時にシャワーやドライヤーを当てるのもおすすめです。首肩こりを和らげる効果もある万能のツボです。

③ 免疫を整えるおすすめアロマ

嗅覚は、自律神経の司令塔である視床下部にダイレクトに伝わるため、自律神経に働きかけ、免疫を整えるのに役立ちます。アロマは手軽なリラックス&リフレッシュ方法なので、オンオフの切り替えに最適です。

 

・ティートゥリー
高い抗菌・抗ウイルス作用で有名ですが、免疫調整機能があることが知られています。

 

・ラベンダー
交感神経を落ち着かせることで、副交感神経を優位にして免疫に働きかけます。

 

アロマはそれぞれの作用に加え、ご自身が好きと思える香りが、身体や脳にダイレクトに働きかける力が強く効果的です。純度の高い、品質の良い精油を選ぶことで、香りの持つ力を最大限に取り入れられます。

 

新型コロナウイルスをはじめ、インフルエンザやこの先に流行するかもしれないウイルスに対しても、日頃から免疫力を高めておくことが大切です。もともと備わっている免疫力が存分に発揮されるように、簡単に取り入れられることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

【参考元】
1)公益社団法人東洋療法学校協会.はりきゅう理論P86-89
2)明治国際医療大学.「鍼灸と免疫系」. http://www.meiji-u.ac.jp/md-immu/r-tema1
3)MOXAFRICA JAPAN . https://www.moxafrica-japan.com/
4)乳酸菌B240研究所. 予防の立役者「IgA抗体」.
https://www.otsuka.co.jp/b240/mechanism/mechanism2.html

 

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